○宇治市火災調査規程

平成12年11月28日

消防本部訓令甲第1号

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

(定義)

第3条 この規程において「火災」とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であつて、これを消火するために消火施設又は同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(調査の区分)

第4条 調査は、火災の原因調査(以下「原因調査」という。)及び火災の損害調査(以下「損害調査」という。)に区分する。

2 原因調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。

(1) 出火前の状況

(2) 出火箇所

(3) 出火原因

(4) 延焼拡大の状況

(5) 初期消火等の状況

(6) 避難の状況

(7) 消防用設備等の状況

(8) 死傷者の状況

(9) その他必要な事項

3 損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。

(1) 焼き損害

(2) 消火損害

(3) 爆発損害

(4) 火災による死傷者

(調査の主体)

第5条 調査は、火災の発生した場所を管轄する消防署長(以下「署長」という。)が行う。ただし、原因調査については、火災の種別及び規模に応じ、消防長又は署長(以下「消防長等」という。)が行うものとする。

(調査体制の確立)

第6条 消防長等は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立するものとする。

(調査の実施)

第7条 消防長等は、火災を覚知したときは、直ちに調査に着手するものとする。

(消防庁長官の火災の原因調査に伴う連携)

第7条の2 消防長は、法第35条の3の2の規定に基づき、消防庁長官が行う火災の原因調査の実施について通知があつた場合は、速やかに次の各号に掲げる事項について対処するものとする。

(1) 調査本部の設置

(2) 京都府警察本部への通知

(3) 消防庁長官及び警察機関との調査の実施に係る調整

(調査員の選任等)

第8条 消防長等は、消防職員のうちから調査事務に従事する者(以下「調査員」という。)をあらかじめ選任するものとする。

2 消防長等は、必要があると認めるときは、調査員以外の消防職員を調査に従事させることができる。

(調査員の心得)

第9条 調査員は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 常に調査上必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めること。

(2) 調査員相互の緊密な連絡を保ち、調査業務の進行が円滑になるように努めること。

(3) 火災に関係のある者に対して質問等を行うに当たつては、常に厳正かつ公正を旨とし、基本的人権を尊重するとともに、不用意な言動を避け、いたずらに人心を動揺させないこと。

(4) 調査に際し関係のある場所に立ち入るときは、原則として関係者の承諾又は立会いを得ること。

(5) 警察その他の関係機関とは密接な連絡を保ち、相互に協力して調査を進めること。

(6) 調査の経過その他参考となるべき事項を記録し、保存しておくこと。

(現場保存)

第10条 署長は、消火活動が終了したときは、警察署と協議の上、現場保存区域(以下「保存区域」という。)を設定し、火災現場を保存しなければならない。ただし、調査上保存区域を設定する必要がないと認めたときは、この限りでない。

2 署長は、保存区域を設定するときは、必要最小限の範囲にとどめなければならない。

3 署長は、保存区域を設定したときは、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) ロープ等で保存区域であることを表示し、関係者以外の者をみだりに立ち入らせないこと。

(2) 調査の進行に伴い、保存区域を順次縮小し、調査が終了したときは速やかに設定を解除すること。

(焼死者等の取扱い)

第11条 署長は、火災現場において焼死者その他の死者を発見したときは、速やかに消防長に報告するとともに警察署長に通報し、現場保存に努めなければならない。

(原因調査の原則)

第12条 調査員は、原因調査に当たつては、事実の確認を主眼とし、先入観にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断に基づいて事実の立証に努めなければならない。

(火災現場の見分)

第13条 消防隊員及び調査員は、火災現場に出動した場合において、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路、火災に関係のある者の言動等を見聞したときは、現場指揮者に報告しなければならない。

2 調査員は、火災現場を見分し、火災の原因の決定に必要な資料の収集に努めなければならない。

3 調査員は、前項の規定による見分を行うときは、その内容を明確にするため、写真による記録を行うよう努めなければならない。

4 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき火災現場の復元を行うよう努めなければならない。

(質問)

第14条 調査員は、火災に関係のある者に質問し、火災の原因の決定の資料となる事実の把握に努めなければならない。

2 前項の質問を行うときは、関係のある者の任意の供述を得るように行い、必要以上に迷惑を及ぼし、みだりに私事にわたることのないように注意しなければならない。

3 調査員は、警察官に逮捕された犯罪の被疑者に対して質問するときは、警察官の捜査に支障を来さないように行わなければならない。

4 調査員は、少年に対して質問するときは、必要に応じて保護者その他これに代わる者の立会いのもとに行われなければならない。

(質問調書)

第15条 調査員は、前条第1項の規定による質問により知り得た事実のうち火災の原因の決定に必要と認められるものを質問調書に記録しなければならない。

2 前項の規定により記録をするときは、記録した内容を被質問者及び立会人に読み聞かせるなどし、記載事項に誤りがないことを確認させるものとする。

(資料の提出等)

第16条 消防長等は、法第32条第1項又は第34条第1項の規定によつて資料の提出を命じ、又は報告を求める場合を除き、必要があると認める場合は、関係のある者に対して任意の資料の提出又は報告を求めるものとする。

2 消防長等は、法第32条第1項若しくは第34条第1項の規定による命令又は前項の規定による請求によつて資料が提出された場合は、当該資料の証拠価値をき損しないよう細心の注意を払い、整理して保管するものとする。

3 消防長等は、前項の資料の調査が終了し、当該資料を保管する必要がないと認めるときは、速やかに提出者に返還しなければならない。

(照会及び鑑定の依頼)

第17条 消防長等は、調査のため必要があると認める場合は、関係のある官公署又は学識経験者に対し、照会をし、又は鑑定を依頼するものとする。

(原因の決定方法)

第18条 火災の原因は、火災の実況見分、質問、関係資料等により知り得た事実を総合的に検討し、科学的かつ合理的に決定されなければならない。

(即報)

第19条 署長は、原因調査を行つたときは、その概要を速やかに消防長に報告しなければならない。

(損害調査の原則)

第20条 調査員は、損害調査に当たつては、火災により損害を受けた財産(以下「り災物件」という。)を詳細に調査し、正確な損害の把握に努めなければならない。

2 調査員は、前項に規定する調査により把握した損害に基づき、損害額を決定しなければならない。

3 り災物件の損害額は、火災報告取扱要領の全部改正について(平成6年消防災第100号消防庁長官)の火災報告取扱要領別表第4及び別に定める基準により算定するものとする。

(震災時の調査体制の確立)

第21条 消防長は、地震の発生から宇治市警防規程(平成17年宇治市消防本部訓令甲第9号)第22条の2第1項に規定する警防本部が閉鎖されるまでの間に発生した火災を調査するため、組織的な調査体制を確立するものとする。

(火災状況の記録及び情報の収集)

第22条 消防長等は、地震の発生直後から火災の状況を記録し、及び調査のための情報を収集するものとする。

(震災に伴う火災の指定)

第23条 消防長は、調査を円滑に実施し、及びり災証明書を速やかに発行するため、地震の発生により発生した火災のうち、期間及び地域を限定した火災(以下「震災に伴う火災」という。)を指定するものとする。

(震災に伴う火災の調査)

第24条 消防長は、宇治市警防規程第2条第2号に規定する警防活動がおおむね終了した後、前条の規定による指定に係る震災に伴う火災(以下「指定火災」という。)の調査について、り災証明書の発行のための損害調査を優先するものとする。

(調査員の派遣)

第25条 消防長は、指定火災の調査を実施するため必要があると認めるときは、署長に管轄区域外への調査員の派遣を命じることができる。

(書類の作成)

第26条 調査員は、調査が終了したときは、速やかに火災調査書その他の消防長が別に定める書類を作成し、消防長に提出しなければならない。

(り災証明書の発行)

第27条 署長は、り災物件の所有者その他関係者からの申請があつたときは、当該り災物件についてり災証明書を発行することができる。

(火災原因等に関する回答)

第28条 消防長は、火災原因その他の調査を行つた事項について、官公署から照会があつたときは、その内容、目的及び理由について審査し、必要な事項を回答することができる。

(補則)

第29条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、消防長が定める。

1 この規程は、平成13年1月1日から施行する。

2 宇治市火災原因及び損害調査規程(昭和57年宇治市消防本部訓令甲第5号)は、廃止する。

(平成17年消防本部訓令甲第2号)

この規程は、平成17年4月1日から施行する。

(平成24年消防本部訓令甲第4号)

この規程は、平成25年1月1日から施行する。

(平成25年消防本部訓令甲第3号)

この規程は、公布の日から施行する。

(平成30年消防本部訓令甲第1号)

この規程は、公布の日から施行する。

宇治市火災調査規程

平成12年11月28日 消防本部訓令甲第1号

(平成30年1月26日施行)

体系情報
第11編 防/第3章
沿革情報
平成12年11月28日 消防本部訓令甲第1号
平成17年3月31日 消防本部訓令甲第2号
平成24年12月27日 消防本部訓令甲第4号
平成25年7月5日 消防本部訓令甲第3号
平成30年1月26日 消防本部訓令甲第1号