○宇治市男女生き生きまちづくり条例

平成16年10月8日

条例第23号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 男女共同参画に関する基本的施策(第9条―第21条)

第3章 男女共同参画を阻害する行為の禁止等(第22条・第23条)

第4章 男女共同参画に関する苦情等及び相談の申出(第24条・第25条)

第5章 宇治市男女共同参画審議会(第26条―第35条)

第6章 雑則(第36条)

附則

我が国においては、日本国憲法において、個人の尊重及び法の下の平等がうたわれ、昭和60年(1985年)に女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約が批准されたことを契機として、男女平等の実現に向けた様々な取組が国際社会における取組と連動して進められ、平成11年(1999年)には男女共同参画社会基本法が制定された。

本市においても、市民や事業者などの協力を得て、男女平等や男女共同参画の推進に関する多様な施策を展開してきた。しかしながら、今なお、家庭、地域、職場、学校などの分野において、性別による固定的な役割分担意識とそれに基づく社会慣行が根強く残つている。さらに、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化及び国際化、情報通信の高度化などが社会経済情勢に急激な変化を生じさせている。

こうした現状を踏まえ、豊かで安心して生活することができ、住みたい、住んでよかつたと実感することができるまちを築くためには、すべての人が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野の政策及び方針の決定過程に対等に参画することができる地域社会の実現が重要である。

ここに、本市は、市民や事業者などと協働して男女共同参画の推進に取り組むことにより、市民一人ひとりが生き生きと暮らすことができるまちづくりを進めるため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、並びに市、市民、事業者等の責務を明らかにするとともに、本市の男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もつて男女が生き生きと暮らすことができるまちづくりに資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 性別にかかわらず、男女の人権が尊重され、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によつて社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もつて男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべきことをいう。

(2) 積極的格差是正措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を是正するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次の各号に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 男女が、個人としての人権を尊重され、性別による差別的取扱いを受けることなく、個人としての個性と能力を十分に発揮する機会が確保されること。

(2) 生涯にわたる性と生殖に関する健康と権利が尊重され、健康の保持増進が図られること。

(3) 家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、暴力的行為(身体的、精神的又は経済的な苦痛を与える行為をいう。以下同じ。)及び他の者を不快にさせる言動が根絶されること。

(4) 社会における制度又は慣行が、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするよう配慮されること。

(5) 男女が、社会の対等な構成員として、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野における政策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(6) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動と社会生活における活動とを共に行うことができるよう配慮されること。

(7) あらゆる教育の場において、多様な選択を可能にする教育及び学習機会の充実が図られること。

(8) 国際社会における男女共同参画の推進に関する取組に留意し、国際的協調の下に行われること。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのつとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的格差是正措置を含む。以下同じ。)を市の重要課題として総合的かつ計画的に策定し、及び実施するものとする。

2 市は、前項の施策を策定し、及び実施するに当たつては、市民、事業者、社会のあらゆる分野において教育活動を行う者(以下「教育に携わる者」という。)及び市内において非営利的活動を行う市民団体等(以下「市民団体等」という。)(以下「市民等」と総称する。)並びに国、京都府その他の地方公共団体と連携し、及び協力して取り組むものとする。

3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するために必要な体制の整備及び財政上の措置を講ずるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのつとり、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において主体的かつ自立的に男女共同参画の推進に取り組むよう努めるとともに、地域に根ざした男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのつとり、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)及び女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)を遵守するとともに、その事業活動に関し、男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育に携わる者の責務)

第7条 教育に携わる者は、教育が男女共同参画の推進に果たす役割の重要性にかんがみ、個々の教育本来の目的を実現する過程において、基本理念を踏まえた教育を行うよう努めなければならない。

2 教育に携わる者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(市民団体等の責務)

第8条 市民団体等は、基本理念にのつとり、男女共同参画の推進に努めるとともに、活動方針の決定、活動計画の立案等において、男女が共に参画する機会を確保するよう努めなければならない。

2 市民団体等は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第2章 男女共同参画に関する基本的施策

(男女共同参画計画)

第9条 市長は、地域に根ざした男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。

2 市長は、男女共同参画計画の策定に当たつては、あらかじめ宇治市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民等の意見が反映されるよう努めなければならない。

3 市長は、男女共同参画計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

4 市長は、社会情勢の変化に対応するため、必要に応じて男女共同参画計画の見直しを行わなければならない。

5 第2項及び第3項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。

(施策の策定及び実施に当たつての配慮)

第10条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たつては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。

(市民等の理解を深めるための措置)

第11条 市は、基本理念に関する市民等の理解を深め、情報を主体的に読み解くための能力の向上が図られるよう、情報及び学習機会の提供、広報活動その他の必要な措置を講ずるものとする。

(積極的格差是正措置)

第12条 市は、法令等により設けられた委員、委員会、審議会、審査会及びこれらに準ずるものの構成員の任命又は委嘱については、積極的格差是正措置を講ずることにより、男女の均等を図るよう努めるものとする。

2 市は、職員の登用及び職域の拡大については、積極的格差是正措置を講ずるよう努めるものとする。

(雇用の分野における男女共同参画)

第13条 市は、事業者に対し、その雇用における男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するため、学習機会の提供、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対し男女共同参画の推進に関する取組の状況について報告を求めることができる。

(個人で営む事業における男女共同参画)

第14条 市は、農業及び商工業等の分野における個人で営む事業において、男女共同参画が推進されるよう情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(家庭生活における活動と職業生活における活動の両立等)

第15条 市は、市民が家庭生活における活動と職業生活における活動の両立を図ることができ、地域社会に参加することができるよう必要な支援及び環境の整備に努めるものとする。

(教育における男女共同参画)

第16条 市は、学校教育をはじめとするあらゆる分野の教育において、男女共同参画を推進する教育及び学習活動の振興に努めるものとする。

(市民等の活動の支援)

第17条 市長は、市民等が行う男女共同参画の推進のための活動を促進するため、市民等との協働に努めるとともに、情報の提供その他の必要な支援を行わなければならない。

(年次報告書の公表)

第18条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(市民等の表彰)

第19条 市長は、男女共同参画の推進に関する取組の普及を図るため、当該取組を積極的に行つたと認められる市民等を表彰することができる。

(情報収集及び調査研究)

第20条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施するため、必要な情報収集及び調査研究を行わなければならない。

(拠点施設)

第21条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施し、及び市民等が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、宇治市男女共同参画支援センター条例(平成15年宇治市条例第6号)第1条に規定する宇治市男女共同参画支援センターをそれらの拠点施設とする。

第3章 男女共同参画を阻害する行為の禁止等

(性別による権利侵害の禁止)

第22条 何人も、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いを行つてはならない。

2 何人も、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野において、他の者に対し性的な言動を行うことにより、その者の生活の環境を害し、若しくは不快な思いをさせ、又は当該性的な言動を受けた者の対応により、その者に不利益を与える行為を行つてはならない。

3 何人も、配偶者等(夫婦関係及び恋愛関係にある男女その他の密接な関係にある男女のいずれか一方をいう。以下同じ。)に対し、暴力的行為を行つてはならない。

(市民に表示される情報の制限)

第23条 市は、市が作成し、広く市民に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識及び配偶者等に対する暴力的行為を助長し、及び連想させる表現並びに過度の性的な表現を行わないものとする。

2 市は、広く市民に表示される情報において、性別による固定的な役割分担意識及び配偶者等に対する暴力的行為を助長し、及び連想させる表現並びに過度の性的な表現が行われないよう啓発活動に努めるものとする。

第4章 男女共同参画に関する苦情等及び相談の申出

(苦情等の申出)

第24条 市民等は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、苦情等があるときは、市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の規定による申出を受けたときは、関係機関と連携を図るとともに、必要な措置を講じなければならない。

(相談の申出)

第25条 市民等は、性別による差別又は男女共同参画を阻害する要因により権利侵害のおそれがある旨の相談があるときは、市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の規定による申出を適切かつ迅速に処理するため、本市に宇治市男女共同参画相談員(以下「相談員」という。)を置く。

3 次の各号に掲げる事項については、第1項の規定による申出をすることができない。

(1) 裁判所において係争中の事項又は判決等のあつた事項

(2) 行政不服審査法(平成26年法律第68号)等の規定による不服申立てを行つている事項又は裁決等のあつた事項

(3) 議会に請願又は陳情を行つている事項

(4) 相談員に関する事項

4 相談員は、必要に応じ、関係者に対しその同意を得た上でその説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求め、及び必要があると認めるときは、助言、是正の要望等を行うものとする。

5 相談員は、3人以内とする。

6 相談員は、男女共同参画の推進に関し、知識及び経験のある者のうちから市長が委嘱する。

7 相談員の任期は、2年とする。ただし、相談員が欠けた場合における補欠の相談員の任期は、前任者の残任期間とする。

8 相談員は、再任されることができる。

第5章 宇治市男女共同参画審議会

(設置)

第26条 男女共同参画の推進を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、市長の附属機関として、宇治市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事項)

第27条 審議会は、市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する重要事項を調査及び審議を行い、市長に答申する。

2 審議会は、前項に規定する重要事項に関し必要があると認める事項について、市長に意見を述べることができる。

(組織)

第28条 審議会は、委員10人以内で組織する。

2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 市民代表

(3) その他市長が適当と認める者

(任期)

第29条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(会長及び副会長)

第30条 審議会に会長及び副会長を置く。

2 会長及び副会長は、委員の互選により定める。

3 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第31条 審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、会長がその議長となる。

2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。

3 審議会の会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

(専門部会)

第32条 審議会は、必要に応じて専門部会を設置し、審議会が必要とする事項について調査、研究等を行わせることができる。

(意見の聴取等)

第33条 会長は、審議会の会議において必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

(審議会の庶務)

第34条 審議会の庶務は、男女共同参画担当課において処理する。

(会長への委任)

第35条 この章に規定するもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、審議会の議決を経て会長が定める。

第6章 雑則

(委任)

第36条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

1 この条例は、公布の日から起算して2月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。ただし、第25条の規定は、公布の日から起算して5月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。

(平成16年宇治市規則第47号により平成16年12月7日から施行。平成17年宇治市規則第1号により附則第1項ただし書に規定する規定は平成17年3月7日から施行)

2 この条例の施行後最初の審議会の会議の招集は、第31条第1項の規定にかかわらず、市長が行う。

(平成28年条例第15号)

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

宇治市男女生き生きまちづくり条例

平成16年10月8日 条例第23号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第7編 市民生活/第6章 その他
沿革情報
平成16年10月8日 条例第23号
平成28年3月31日 条例第15号