○宇治市手話言語条例

平成29年12月27日

条例第41号

手話は、視覚的に表現されるろう者の言語であり、生活を営むために欠かすことのできない意思疎通を図るための手段として使用されている。

明治11年(1878年)に、耳の聞こえない子供たちに対する国内で最初の教育機関である「京都盲院」の創立がきつかけとなり、その集団の中で手話による意思疎通が行われたことから、京都は手話誕生の地とされている。その後、手話はろう者の間で受け継がれ、発展してきたが、口話法が海外から伝えられると、多くのろう学校で手話が禁止されることとなつた。そのような状況下であつても、手話はろう者の間で大切に守られてきた。

昭和45年(1970年)に、本市においては手話通訳のできる職員を採用し、ろう者に対する手話による意思疎通の支援に努めるなど、手話に関する取組を進めてきた。また、平成18年(2006年)に国際連合で採択された障害者の権利に関する条約及び平成23年(2011年)に改正された障害者基本法において、手話は言語であることが定められた。しかしながら、社会においていまだに手話への理解が浸透しているとは言えない。

こうした状況を踏まえ、本市は、「手話が言語である」ことに基づき、手話への理解の促進及び手話の普及のための施策を総合的かつ計画的に推進することにより、障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であることに基づき、手話への理解の促進及び手話の普及に関し基本理念を定め、本市の責務及び市民等の役割を明らかにするとともに、本市が推進する施策の基本的事項を定めることにより、障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 手話への理解の促進及び手話の普及は、全ての市民に手話による意思疎通を図る権利が保障されることを前提とし、相互に人格と個性を尊重することを基本理念として行わなければならない。

(本市の責務)

第3条 本市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、手話による意思疎通が円滑にできるよう、手話への理解の促進及び手話の普及のために必要な施策(以下「施策」という。)を実施するものとする。

(市民等の役割)

第4条 市民及び市内の手話に関わる団体並びに事業者は、基本理念に対する理解を深め、施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第5条 本市は、次の各号に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話による意思疎通の支援に関すること。

(2) 手話による情報の取得に関すること。

(3) 手話の習得に関すること。

(4) 学校等が行う手話及びろう者への理解の促進に関する活動の支援に関すること。

(5) その他手話への理解の促進及び手話の普及に関すること。

(施策の推進に関する協議の場)

第6条 本市は、施策の推進に関し、ろう者、手話通訳者その他の関係者の意見を聴くため、これらの者との協議の場を設けることとする。

(委任)

第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

この条例は、公布の日から施行する。

宇治市手話言語条例

平成29年12月27日 条例第41号

(平成29年12月27日施行)

体系情報
第8編 祉/第1章 社会福祉
沿革情報
平成29年12月27日 条例第41号