○宇治市文化芸術振興条例
令和元年12月27日
条例第25号
宇治は、京都・奈良の中間に位置することから、古代より交通の要衝として発展してきた。また、宇治川と山々が織り成す風光は歌人たちを魅了し、宇治の情景は多くの歌に詠まれてきた。平安時代には、貴族の別業の地として栄え、源氏物語宇治十帖の舞台となるなど、華麗な王朝文化の一端を担つた。鎌倉時代に茶の栽培が始まり、室町時代以降は有力な茶の産地となる。江戸時代、宇治茶が高級茶の代名詞としての名声を確立するとともに、平家物語などの古典文学作品が広く読まれ、その舞台となつた宇治の名も知れ渡つてゆく。
このように、宇治は、それぞれの時代で新たな特色を生み出し、豊かな文化と伝統、歴史を築き上げてきた。
現代に生きる我々の暮らしには、世界遺産をはじめとする多くの文化財、幾千年の時を超えて滔々と流れる宇治川の清流、豊かな緑と茶園景観、歴史ある町並みなど、魅力ある文化と伝統、歴史が息づいている。
これまで培われてきた歴史と豊かな自然を背景とした文化と伝統を守り、育て、磨き、未来に継承するとともに、自主的かつ創造的な文化芸術活動の促進を図ることにより、お茶と歴史・文化の香る「ふるさと宇治」を将来にわたり希望と活力に満ちた魅力あふれるまちとするため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、本市の責務並びに市民、文化芸術団体及び事業者の役割を明らかにするとともに、本市が推進する施策の基本的事項を定めることにより、本市が市民、文化芸術団体及び事業者と協働して文化芸術の継承及び発展に努め、並びに文化芸術活動の促進を図り、もつて心豊かな市民生活及び活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 文化芸術 文化芸術基本法(平成13年法律第148号)が対象とするものをいう。
(2) 文化芸術活動 文化芸術を創造し、享受し、保護し、活用し、継承し、又はこれらの活動を支援することをいう。
(3) 市民 市内に居住し、勤務し、若しくは在学する者又は市内において文化芸術活動を行う者をいう。
(4) 文化芸術団体 市内において文化芸術活動を行う団体をいう。
(5) 事業者 市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体及び市内で事業を行う個人をいう。
(基本理念)
第3条 文化芸術の振興に当たつては、文化芸術活動を行う市民、文化芸術団体及び事業者それぞれの自主性及び創造性が尊重されなければならない。
2 文化芸術の振興に当たつては、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、市民が文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。
3 文化芸術の振興に当たつては、本市、市民、文化芸術団体及び事業者が協働して文化芸術活動の促進が図られなければならない。
(本市の責務)
第4条 本市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、文化芸術の振興を図るための施策(以下「施策」という。)を推進するものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念にのつとり、文化芸術の担い手として、自主的かつ創造的な文化芸術活動を行うとともに、その活動を相互に理解し、尊重するよう努めるものとする。
(文化芸術団体の役割)
第6条 文化芸術団体は、基本理念にのつとり、文化芸術の担い手として、自主的かつ創造的な文化芸術活動を一層促進するとともに、地域社会の一員として、文化芸術活動の活性化に努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、基本理念にのつとり、地域社会の一員として、文化芸術活動の活性化に努めるものとする。
(施策の推進)
第8条 本市は、この条例の目的を達成するために、次の各号に掲げる施策を推進するものとする。
(1) 文化芸術活動を行う機会の充実に関すること。
(2) 文化芸術活動に係る交流の促進に関すること。
(3) 高齢者の文化芸術活動の促進に関すること。
(4) 障害者の文化芸術活動の促進に関すること。
(5) 青少年の文化芸術活動の促進に関すること。
(6) 文化芸術の担い手の育成に関すること。
(7) 文化芸術活動に係る情報の収集及び発信に関すること。
(文化芸術振興基本計画)
第9条 本市は、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文化芸術の振興に関する基本的な計画(以下「文化芸術振興基本計画」という。)を策定するものとする。
2 本市は、文化芸術振興基本計画の策定に当たつては、市民、文化芸術団体及び事業者から広く意見を聴き、これを反映するよう十分配慮するものとする。
3 本市は、文化芸術振興基本計画を策定したときは、これを公表するものとする。
4 前2項の規定は、文化芸術振興基本計画を変更する場合について準用する。
(委任)
第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。