○宇治市ケアラー支援条例
令和8年7月8日
条例第24号
高齢、身体、知的又は精神その他の心身の機能の障害、疾病等により援助を必要とする家族等に対する「ケア」は、人生の中で誰もが携わり得るものであり、社会を支える不可欠な営みである。
宇治市は、「認知症の人にやさしいまち うじ」や、在宅医療・介護連携の推進、障害者及び障害児の相談支援体制の充実、ヤングケアラー支援等、関係機関と連携しながら、ケアラーを支える取組を行つてきたところである。
こうした取組が行われてきたところではあるが、今もなおケアの多くは、家族等が担つており、こうした人の中には、誰にも相談することができず、社会から孤立し、ケアに伴う大きな負担から、健康や学業、仕事等の日常生活に深刻な影響が生じている人もいる。また、障害のある子やひきこもり等の状態にある子を残して親が死亡した場合や、高齢化等により介護が困難となるいわゆる「親なき後」の問題等、多くのケアラーは、自らがケアを担えなくなつた後の生活に強い不安を抱えている。
このため、ケアラー当事者の意見を聴きながら、障害、高齢・介護、児童福祉等に関する計画の中にケアラー支援に関する施策を掲げ、推進することが一層求められているところである。
このような状況を踏まえ、ケアラーが抱える悩みや課題を地域社会全体の問題として認識し、本市、議会、市民、事業者、関係機関及び民間支援団体等が連携して、ケアラーが夢と希望を持つて社会に参加し、自己実現を図ることができるよう支援を行い、誰一人取り残すことなく、住み慣れた地域で、ケアをされる側も、ケアをする側も安心して、健康で文化的な生活を営むことができる地域社会の実現を目指して、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、ケアラーに対する支援(以下「ケアラー支援」という。)に関し、基本理念を定め、本市及び議会の責務並びに市民、事業者、関係機関及び学校等の役割を明らかにするとともに、ケアラー支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、全てのケアラーが、健康で文化的な生活を営むことができるよう、ケアラーを社会全体で支えることができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) ケア 介護、看護、日常生活上の世話その他の必要な援助をいう。
(2) ケアラー 高齢、身体、知的又は精神その他の心身の機能の障害、疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対し、無償でケアを提供する者をいう。
(3) ヤングケアラー ケアラーのうち、こども基本法(令和4年法律第77号)第2条第1項に規定するこどもである者をいう。
(4) 市民 市内に居住し、勤務し、又は在学する者をいう。
(5) 事業者 市内で事業活動を行う者をいう。
(6) 関係機関 介護、障害者及び障害児の支援、医療、児童の福祉等に関する業務を行い、当該業務においてケアラーに関わる可能性がある機関をいう。
(7) 学校等 関係機関のうち、ヤングケアラーと関わり、又は関わる可能性がある学校その他教育に関する業務を行う機関をいう。
(8) 民間支援団体 ケアラー支援を行うことを目的とする民間の団体をいう。
(基本理念)
第3条 ケアラー支援は、全てのケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができるように行われなければならない。
2 ケアラー支援は、本市、議会、市民、事業者、関係機関及び民間支援団体等の多様な主体が相互に連携を図りながら、ケアラーが孤立することがないよう社会全体で支えるように行われなければならない。
3 ケアラー支援は、ケアラーの年齢、境遇、ケアの内容等、ケアラーを取り巻く状況の変化に応じて、支援が適切かつ切れ目なく行われなければならない。
4 ヤングケアラーの支援は、ヤングケアラー自身の意向を適切に把握し、及び尊重した上で、適切な教育の機会を確保し、心身の健やかな成長及び発達等が図られるように行われなければならない。
(本市の責務)
第4条 本市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、ケアラー支援に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 本市は、支援を必要としているケアラーの把握に努めるものとする。
3 本市は、前2項の施策を円滑に実施することができるよう、ケアラー及びその関係者の意見を踏まえ、市民、事業者、関係機関及び民間支援団体等と相互に連携し、又は協力するものとする。
(議会の責務)
第5条 議会は、基本理念にのつとり、ケアラー支援の取組を効果的に推進するとともに、必要に応じて本市へ提言等を行うものとする。
2 議会は、市民、事業者、関係機関及び民間支援団体等が行うケアラー支援についての意識啓発や活動に協力するものとする。
(市民の役割)
第6条 市民は、基本理念にのつとり、ケアラーが置かれている状況及びケアラー支援の必要性について理解を深め、ケアラーが孤立することのないように十分配慮するとともに、本市が実施するケアラー支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、基本理念にのつとり、ケアラー支援の必要性についての理解を深め、事業活動を行うに当たつては、本市が実施するケアラー支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、雇用する従業員がケアラーである可能性があることを認識するとともに、当該従業員がケアラーであると認められるときは、当該ケアラーの意向を尊重しつつ、勤務するに当たつての配慮、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(関係機関の役割)
第8条 関係機関は、基本理念にのつとり、本市が実施するケアラー支援に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。
2 関係機関は、支援を必要とするケアラーの把握に努め、ケアラーと認められるときは、当該ケアラーの意向を尊重しつつ、その健康状態、生活環境等を確認し、ケアラー支援の必要性の把握に努めるものとする。
3 関係機関は、支援を必要とするケアラーに対し、情報の提供、適切な他の関係機関への案内又は取次ぎその他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
(学校等の役割)
第9条 学校等は、前条第2項に規定するもののほか、ヤングケアラーの意向を尊重しつつ、ヤングケアラーの教育の機会の確保に係る状況を確認し、支援の必要性の把握に努めるものとする。
2 学校等は、前条第3項に規定するもののほか、支援を必要とするヤングケアラーからの教育又は福祉に関する相談に応じるよう努めるものとする。
(広報及び啓発)
第10条 本市は、ケアラーが置かれている状況についての理解及びケアラー支援に関する知識が深まり社会全体としてケアラー支援が推進されるよう、市民、事業者及び関係機関に対し、広報活動、啓発活動その他必要な施策を講じるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。