○宇治市監査基準
令和2年3月31日
監査委員告示第1号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 一般基準(第5条―第11条)
第3章 実施基準(第12条―第20条)
第4章 報告基準(第21条―第25条)
第5章 雑則(第26条・第27条)
附則
第1章 総則
(規範性)
第2条 この基準は、法第198条の3第1項に規定する監査基準である。
2 監査委員は、この基準に従つて監査、検査及び審査(以下「監査等」という。)並びに法令の規定により監査委員が行うこととされているその他の行為を実施するものとし、この基準に定められていない事項については、一般に公正妥当と認められる他の関連する基準等を参考にするものとする。
(監査等の目的)
第3条 監査等は、事務の執行、管理等について法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保するとともに、その実施により、本市の行財政運営について、健全性及び透明性の確保に寄与し、もつて市民の福祉の増進と市政への信頼の確保に資することを目的とする。
2 監査委員は、自ら入手した証拠等を基に監査等の結果の合理的な基礎を形成した上で、当該結果に関する報告等を決定し、これを議会及び市長(公営企業の管理者の権限を行う市長を含む。)又は関係する執行機関(以下「市長等」という。)に提出する。
(1) 法第199条第1項の規定による財務監査 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(2) 法第199条第2項の規定による行政監査 事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(3) 法第75条の規定による住民の直接請求に基づく監査 選挙権を有する者の50分の1以上の連署による請求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(4) 法第98条第2項の規定による議会の請求に基づく監査 議会の請求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(5) 法第199条第6項の規定による市長の要求に基づく監査 市長の要求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(6) 法第199条第7項の規定による財政援助団体等に対する監査 補助金、交付金、負担金等の財政的援助を与えている団体、出資している団体、借入金の元金又は利子の支払を保証している団体、信託の受託者及び公の施設の管理を行わせている団体(以下「財政援助団体等」という。)の当該財政的援助等(以下「財政的援助等」という。)に係る出納その他の事務の執行が当該財政的援助等の目的に沿つているか監査すること。
(7) 法第235条の2第2項又は公企法第27条の2第1項の規定による公金の収納又は支払の事務に関する監査 監査委員が必要と認めるとき、又は市長(公営企業の管理者の権限を行う市長を含む。)の要求があるときに、指定金融機関等の公金の出納事務が正確に行われているか監査すること。
(8) 法第242条の規定による住民監査請求に基づく監査 市民が、本市の職員等による違法若しくは不当な財務会計上の行為又は財務会計上の怠る事実があると認め、監査請求を行つたときに、請求に理由があるか等を監査すること。
(9) 法第243条の2の8第3項(公企法第34条において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による職員の賠償責任に関する監査 市長(公営企業の管理者の権限を行う市長を含む。)の要求に基づき職員が本市に損害を与えた事実があるか監査すること。
(10) 法第235条の2第1項又は宇治市財務条例(昭和26年宇治市条例第34号)第2条第1項の規定による例月現金出納検査 会計管理者又は公営企業の管理者の権限を行う市長(以下「会計管理者等」という。)の現金の出納事務が正確に行われているか検査すること。
(11) 法第233条第2項又は公企法第30条第2項の規定による決算審査 決算その他関係書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査すること。
(12) 法第241条第5項の規定による基金の運用状況審査 基金の運用の状況を示す書類の計数が正確であり、基金の運用が確実かつ効率的に行われているか審査すること。
(13) 健全化法第3条第1項の規定による健全化判断比率審査 健全化判断比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査すること。
(14) 健全化法第22条第1項の規定による資金不足比率審査 資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査すること。
2 前項第1号に掲げる監査は、法第199条第4項の規定による定期監査又は同条第5項の規定による随時監査として実施する。
3 法令の規定により監査委員が行うこととされているその他の行為については、法令の規定により、かつ、この基準の趣旨に鑑み、実施するものとする。
第2章 一般基準
(倫理規範)
第5条 監査委員は、高潔な人格を維持し、いかなる場合も信義にのつとり誠実な態度を保持するものとする。
2 監査委員は、常に、独立的かつ客観的な立場で公正不偏の態度を保持し、正当な注意を払つてその職務を遂行するものとする。
3 監査委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は他の目的に利用してはならない。その職を退いた後も同様とする。
4 監査委員は、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有することが求められ、第3条の目的を達成するため、自らの能力の向上と知識の蓄積を図り、常に自己研さんに努めるものとする。
(指導的機能の発揮)
第6条 監査委員は、第3条の目的を達成するため、監査等の対象部局等に対し、適切に指導的機能を発揮するものとする。
(監査等の実施)
第7条 監査委員は、必要に応じて監査等の対象に係るリスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)を識別し、そのリスクの内容及び程度を検討した上で、効果的かつ効率的に監査等を実施するものとする。
(報告の徴取)
第8条 監査委員は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「施行令」という。)第168条の4第3項又は地方公営企業法施行令(昭和27年政令第403号)第22条の5第3項の規定により、指定金融機関等に対する検査の結果について、会計管理者等に対して報告を求めることができる。
2 監査委員は、法第243条の2第10項の規定により、指定公金事務取扱者に対する検査の結果について、会計管理者に対して報告を求めることができる。
(監査調書等の作成及び保存)
第9条 監査委員は、年間監査等計画及び実施計画(以下「監査等の計画」という。)、監査等の内容、判断の過程、結果及びこれに関連する証拠その他の監査委員が必要があると認める事項を監査調書等として作成し、適切に保存するものとする。
(情報管理)
第10条 監査委員は、監査等において入手し、又は作成した情報が意図せず外部に流出しないよう、情報管理を徹底するものとする。
2 監査委員は、監査等において入手した個人情報について、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき適切に取り扱うものとする。
(品質管理)
第11条 監査委員は、この基準にのつとつてその職務を遂行するに当たり求められる質を確保するために必要な品質管理の方針と手続を定めるものとする。
2 監査委員は、前項の品質管理の方針と手続に従い、監査等が適切に実施されていることを定期的に評価するものとする。
3 監査委員は、監査委員の事務を補助する職員等を適切に監督し、指導するものとする。
4 監査委員は、監査委員の事務を補助する職員に対し、監査委員の職務がこの基準にのつとつて遂行されるよう、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関して、自らの専門能力の向上と知識の蓄積を図るよう研さんに努めさせるものとする。
第3章 実施基準
(合理的な基礎の形成)
第12条 監査委員は、監査等の実施に当たり、十分かつ適切な監査等の証拠等を入手して、決定する監査等の結果の合理的な基礎を形成するものとする。
2 監査委員は、前項の実施方針に基づき、監査等を効果的かつ効率的に実施することができるように、監査等の計画を策定するものとする。
3 監査委員は、年間監査等計画の策定に当たり、リスクの内容及び程度、過去の監査等の結果、監査の結果に対する措置の状況、監査資源等を総合的に勘案した上で、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 実施予定の監査等の種類及び対象
(2) 監査等の対象別実施予定時期
(3) その他監査委員が必要があると認める事項
4 監査委員は、実施計画の策定に当たり、必要に応じて監査等の対象に係るリスクの内容及び程度を検討した上で、その程度に応じて体系的に次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 監査等の種類
(2) 監査等の対象
(3) 監査等の着眼点
(4) 監査等の主な実施手続
(5) その他監査委員が監査等の実施上必要があると認める事項
(監査等の計画の変更)
第14条 監査委員は、監査等の計画の前提として把握した事象、環境等が変化した場合又は監査等の実施過程で、事前のリスク評価に重大な影響を与えるような新たな事実を発見した場合には、必要に応じて適宜監査等の計画を変更するものとする。
(監査等の手続)
第15条 監査委員は、十分かつ適切な監査等の証拠等を入手できるよう、必要に応じて監査等の対象に係るリスクを識別し、そのリスクの内容及び程度を検討した上で、実施すべき監査等の手続を定めるものとする。
2 監査委員は、監査等の結果及び意見を決定するに足る合理的な基礎を形成するために、監査等の手続を定めるに当たり、有効性、効率性、経済性及び合規性に着目し、併せて実在性、網羅性、権利及び義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性等も考慮するものとする。
3 監査等の手続は、試査又は精査による。ただし、監査等の実施の結果、異常の兆候を発見した場合等必要があると認める場合は、監査等の手続を追加して実施するものとする。
4 監査委員は、監査等の実施の結果、想定していなかつた事象若しくは状況が生じた場合、新たな事実を発見した場合又は不正の兆候若しくは事実を発見した場合には、適宜監査等の手続を追加して十分かつ適切な監査等の証拠を入手し、監査等の結果及び意見の合理的な基礎を形成するものとする。
(実施すべき監査等の手続の適用)
第16条 監査委員は、効果的かつ効率的に十分かつ適切な監査等の証拠を入手するため、実査、立会、確認、証憑突合、帳簿突合、計算突合、分析的手続、質問、観察、閲覧等の手法について、得られる証拠力の強弱及びその容易性を勘案して適宜これらを組み合わせる等により、最も合理的かつ効果的となるよう選択の上、実施すべき監査等の手続として適用するものとする。
(各種の監査等の有機的な連携及び調整)
第17条 監査委員は、各種の監査等が相互に有機的に連携して行われるよう調整し、監査等を行うものとする。
(監査専門委員の選任)
第18条 監査委員は、必要に応じて監査専門委員を選任し、必要な事項を調査させることができる。
(他者情報の利活用及び調整)
第19条 監査委員は、監査等の実施に当たり、市長部局等(財政援助団体等を含む。)の監査役、監事等と必要に応じて連携の上情報収集を図り、効果的かつ効率的な監査等の実施に努めるものとする。
2 監査委員は、前項に規定する者から得た情報を利活用する場合には、それらの品質管理の状況等に基づく信頼性の程度を勘案して、利活用する程度及び方法を決定するものとする。
3 監査委員は、学識経験者等から意見を聴く場合、その必要性を吟味し、自らの責任において利用するものとする。
第4章 報告基準
(監査等の結果に関する報告等の提出等)
第21条 監査委員は、監査又は検査を終了したときは、結果に関する報告を議会及び市長等へ提出するものとする。
2 監査委員は、監査の結果に基づいて必要があると認める場合は、当該結果に関する報告に添えてその意見を提出するとともに、当該報告のうち特に措置を講ずる必要があると認める事項については勧告することができる。
3 監査委員は、審査を終了したときは、意見を市長に提出するものとする。
4 監査委員は、監査等の結果に関する報告等の提出に当たり、市民が理解しやすいように平易かつ簡潔明瞭な表現とするよう努めるものとする。
(監査等の結果に関する報告等への記載事項)
第22条 監査等の結果に関する報告等には、原則として次の各号に掲げる事項を記載するものとする。
(1) この基準に準拠している旨
(2) 監査等の種類
(3) 監査等の対象
(4) 監査等の着眼点
(5) 監査等の主な実施内容
(6) 監査等の実施場所及び日程
(7) 監査等の結果
(8) その他監査委員が必要があると認める事項
(8) 第4条第1項第11号に掲げる審査 前項第1号から第6号までに掲げる記載事項のとおり審査した限りにおいて、決算その他関係書類が法令に適合し、かつ、正確であること。
(9) 第4条第1項第12号に掲げる審査 前項第1号から第6号までに掲げる記載事項のとおり審査した限りにおいて、基金の運用の状況を示す書類の計数が正確であり、基金の運用が確実かつ効率的に行われていること。
(10) 第4条第1項第13号及び第14号に掲げる審査 健全化判断比率及び資金不足比率並びにそれらの算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であること。
4 監査委員は、是正又は改善が必要となる事項が認められる場合、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなつた当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。
5 監査委員は、重大な制約等により重要な監査等の手続を実施することができず、監査又は検査の結果及び意見を決定するための合理的な基礎を形成することができなかつた場合には、必要に応じて監査等の結果に関する報告等にその旨、内容、理由等を記載するものとする。
(監査委員の合議)
第23条 次の各号に掲げる事項の決定は、監査委員の合議によるものとする。
(2) 第4条第1項第8号に掲げる監査並びに住民監査請求に係る行為の停止及び議会又は市長等に対する必要な措置を講ずるべきことの勧告並びに権利の放棄に関する議決に係る意見
(3) 第4条第1項第9号に掲げる監査に係る賠償責任の有無等及び全部又は一部の免除の意見
(4) 審査の意見
2 監査委員は、監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨及び当該事項についての各監査委員の意見を議会及び市長等に提出するとともに、これらを公表するものとする。
(措置状況の報告等)
第25条 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び当該結果に関する報告に係る勧告をした者に、適時、措置状況の報告を求めるよう努めるものとする。
2 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び当該結果に関する報告に係る勧告をした者から措置の内容の通知を受けたときは、当該措置の内容を公表するものとする。
3 監査委員は、第4条第1項第8号に掲げる監査に係る勧告に基づき、議会又は市長等から必要な措置を講じた旨の通知を受けたときは、これを請求人に通知するとともに、公表するものとする。
第5章 雑則
(公表の方法)
第26条 第23条第2項、第24条並びに前条第2項及び第3項の規定による公表は、宇治市公告式条例(昭和26年宇治市条例第1号)第2条第2項の規定の例により登載し、又は掲示して行うものとする。
(補則)
第27条 この基準に定めるもののほか必要な事項は、監査委員が定める。
附則
(施行期日)
1 この基準は、令和2年4月1日から施行する。
(宇治市監査委員処務規程及び宇治市監査委員監査規程の廃止)
2 宇治市監査委員処務規程(昭和27年宇治市監査委員告示第2号)及び宇治市監査委員監査規程(平成4年宇治市監査委員告示第1号)は、廃止する。
附則(令和5年監査委員告示第1号)
この基準は、令和5年4月1日から施行する。
附則(令和6年監査委員告示第1号)
この基準は、令和6年4月1日から施行する。